チャート方式・『四次元時空の哲学』入門 (7)

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 「第4章 倫理学的問題(自由論)」 の論旨

 そして、最終章です。
 おそらく、私にとって、この章の内容こそが一番書きたかったことで、これまでの展開は、そのための基礎固めのようなものとも言えるかもしれません。ここまでの展開はどちらかといえば、学んだ時空についての理論内容を自分なりにどう把握して考えをまとめてきたかを記述したものですが、この章は、自分自身の思索の表出が中心になります。
 ここで取り扱われたテーマは、どれももっと各論としてきっちり丁寧に議論すべき内容なのでしょうが、そこを一気に駆け抜けるように書いてみました。

 私はなにより「自由」について考えたかったのです。しかし、ただ自由を自由論として、つまり単純に自由意思を基礎にした世界観の上で語るのではなく、それを決定論をとことん突き詰めた世界観の上で展開できないかと、私は構想を暖めてきました。

 本書は、もちろん時空論が中心のテーマです。しかし、そこにいくつかのサブテーマを重ねていくことを試みています。その一つが、「抽象性 VS 具象性」というテーマです。私は、自由の追求を抽象性に委ねるというやり方を拒みたいと思ってきました。自由の問題は、具体性の問題として語られてこそ意味を持つのだというのが、私の主張です。それを、哲学理論としてどう表現するか、それが本章の課題であり、試みでした。
 第1章で、ミンコフスキー時空の解釈をめぐって、ありとあらゆる抽象的可能性を認める多世界論の立場を取らないで、決定論路線を選んだ意味の一つには、このような意図も伏線としてありました。






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 <なお、...続く(と思う、たぶん。)>


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